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笹幸恵
2017.11.2 15:28

映画「ソニータ」

アフガニスタン・タリバンからイランに逃れてきた

難民少女、ソニータ。

テヘランの保護施設で暮らしている。

彼女の夢は皆を熱狂させるラッパーになること。

 

アフガニスタンにいる家族は、

息子の結婚資金を得るため、娘であるソニータを

見ず知らずの男に嫁がせようとする。

花嫁の値段は9000ドル。

女性は10代のうちに結婚という名の身売りを強いられる。

それが当たり前。

でもソニータはラッパーになりたい。

 

そんな彼女を追いかけた映画『ソニータ』を

観てきました。


アフガニスタンに戻れば身売りさせられる。

イランにいても、女性が歌うことは許されない。


監督は取材対象者の人生を変えてはならないと

葛藤するものの、ソニータの八方ふさがりに

何とか活路を見出そうと協力を始める。

監督自身もこの映画の出演者だ。

  

映画を観ながら、自分が10代のときを思い出していました。

女性は結婚して家庭に入るものだとまだ言われていた。

四年制の大学に入ったら嫁に行けなくなる、

就職もできなくなる、そんなふうにも言われていた。

女というだけでこんなにも選択肢が狭まるなんて。

女の人生のゴールは結婚だと言わんばかりの世間の“常識”。

そのことに強烈な違和感を覚えていた。

 

もちろんソニータの味わった苦悩は、私なんかの比じゃない。

彼女はパスポートを発行してもらうため、

危険を冒してアフガニスタンへ戻る。

それまで自分が何者であるか証明することができなかった

ソニータの、パスポートを手にした瞬間の喜び。

印象的だったなあ。

 

多くの沈黙する女性たちの代わりに、

彼女はおでこにバーコードを描き、ラップで叫ぶ。
死の恐怖の味わいながらアフガニスタンから逃れ、
楽しい将来を思い描くことでやっと生きてこられた少女の、
叫びというより、これは慟哭だ。

 

日本語訳のついた彼女の歌の動画があるので、

関心のある方はぜひどうぞ。

↓ ↓ ↓
ソニータ「売られる花嫁」

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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